8月25日午前3時すぎ、わずかなライトと月明かりを頼りに細い山道を登る。さすがに星がきれいだ。時々立ち止まって夜空を眺めてみる。地上2000メートルから見るオリオン座は、心持ち大きく感じられた。
(白山市に店を構える西洋料理店ゲデレーの店主はこの度、霊峰白山からの御来光を仰ぐとともに山頂の白山神社奥宮への参拝をいたしました。これは「ちょっとひと息休日コラム」です。興味のない方は画面右上にあるバツ印をクリックしてください。)
辺りが白々と明らみ、やがて赤紫色にかわってくると日の出は近い。5時18分、空がゆっくり眼を開けるように真っ赤な太陽がでてきた。朝日を浴びたすがすがしい山々を見ていると、自分の中にこびり付いた俗世間の嫌なものが夜の闇と共に消えてしまった気がした。
平安時代「越の白山」と讃えられた白山は、自然崇拝の山、神仏習合の聖地として仰がれ、都びとの憧憬の的だったそうだ。また、独自に形成された修験道山岳修行の場でもあり、富士山、立山とともに日本三霊山に数えられている。今でこそ老若男女でにぎわう登山道だが、昔は修験者たちが真剣な面持ちで行き交っていたのだろう。白山開山の歴史はさらに古く、泰澄大徳が登頂した奈良時代にまでさかのぼるというから、1300年近くも信仰が息づいているまさしく霊峰だ。
頂上御前峰にある白山神社奥宮、2702メートルここまで登って来た者にだけ祈願がゆるされる。神様がこれだけ近くで聞いてくれれば、どんな願いもかないそうだ。
やっぱり日頃の行いが良いのか、とうとう出ました!山頂ブロッケン!(写真中央)。西洋で「ブロッケンの妖怪」とよばれるこの現象は、ある限られた状況でしか見ることができない。虹の輪の中に自分の影がうつるのだが、その姿が人々を救うため光背を背負って来迎する阿弥陀さまに似ていることから、日本ではとてもありがたいものとされている。白山本地仏が阿弥陀さまなだけに倍ありがたい。場所も忘れ、思わず前へ踏み出しそうになった。
なぜ山に登るのか。それは山で飲むビールが美味しいから・・・あっいや、そこに山があるから。
以上、夏休みの報告おわり。