さてボルドー2日目からは、メドックはマルゴーからサンテステフまでのシャトーめぐり。ボルドー駅で車を借り、まずは「D2」へのアクセスを確認する。「D2」といってもSFロボットの名前ではなく、ボルドーからマルゴーやポイヤック村を結ぶ街道の番号である。ラトゥールやラフィットをはじめ、格付けワインの多くはこの「D2」沿いにシャトーを構えているので、地図が無くとも標識をたどれば有名シャトーに辿り着くいう、便利なワイン街道である。勢いよくスタートしたゲデレー号は、右側通行で慣れないうえ、朝のラッシュで混雑したボルドー市街を抜けるのに少々手こずったがなんとかその街道へ無事にたどり着いた。さあ、後はワインの国へといざなう道しるべ「D2」を頼りに真っ直ぐ走るだけ!!!。かなり興奮ぎみに、ギアをトップに入れアクセルを踏むのは西洋料理店ゲデレー店主。38歳。男ひとり旅・・・である。
・・・さて、1時間ほど走ると、いよいよ最初の目的地マルゴーへ到着。シャトー名が書かれた看板が賑わい始めたのでワイン好きならマルゴーだとすぐ分かる。格付けワインがいちばん多い町(村?)は思ったよりも小さく、静かな所で驚いたが、ワイン以外のために発展させる必要も無いと自分なりに納得する。街道脇のぶどう畑には雑草を刈る人やトラクターをチラホラ見かけた。もうじき9月だから、収穫に向けての最終手入れをしているのだろうか、近くの女性にたずねるとそこはシャトーマルゴー(第1級)の畑だと言う。よく見ると張りのある大きいぶどうが黒々と、いかにも旨いのをつくりそうな顔をしてぶら下がっている。「ひと粒ちょうだいな」と女性にお願いしてみようと思ったが、モラル無い日本人の典型のようだと思いとどまった。
パルメを過ぎ、D2沿いのディフォールヴィヴァンを左へ入るとローザンセグラ、ガシー、右へ入るとすぐシャトーマルゴー。中心にはマレスコサンテグジュペリやフェリエール。大きな城を構えるディッサンやラスコンブ、カントナックなども中心から10分も走ればたどり着く。その他個々のシャトーについては、そのワインが入荷した時に写真と一緒に紹介することにして、ここではマルゴーの特徴を述べたい。
「マルゴー」という響きは、甘美な女王のイメージを思い浮かべるが、やはりその特徴はうっとりさせる華やかなブーケにある。抜栓した後一瞬一瞬移りゆく魅惑のブーケはマルゴーファンの心を捉えはなさない。「はかなさ」にこそマルゴーの美学があるように思う。細かい砂利質の白っぽい土壌に植えられたぶどうはカベルネソーヴニオンが中心で、繊細で天候によって左右されやすい難はあるが、フィネスやアロマの複雑さ、リッチさは他のアペラシオンの比ではないと言われる。味わいの面で言うと、私自身全般的に軽い印象を持っているが、(マルゴーとパルメ以外は)ブーケとアロマのまろやかさを楽しむのが、マルゴーの特徴なのかもしれないと最近感じている。(現地で飲むと違うのかと今回も何本か飲んだが、どれも飲みやすく華やかさはあるもののインパクトに欠ける感じがした。)多くのマルゴーワインはビンテージにバラつきがあるため買いづらく、愛好家には大変なリスクがあるのは事実だ。あくまで個人的な意見だが、ワイン価格の高騰で消費者は味わいに金額相当の力強さを求める傾向があり、ポイヤックやサンテステフ型に人気が集まっているように思う。レストランでもボディとブーケを兼ね備えた1本でないと、「マルゴー」というネームバリューだけでは売りづらい時代になったかもしれない。
ワイン街道では、ぶどうを消毒したり、剪定するトラクターと頻繁にすれちがう。
いよいよマルゴーに到着。見えるのはディフォールヴィヴァンのカーヴ。
シャトーマルゴーの畑で作業していた女性に話を聞く。ポルトガルからこの時季だけ出稼ぎに来ているのだという。
第1級シャトーマルゴー。
地平線まで続いていそうなぶどう畑。
手入れの行き届いたシャトーパルメ。