先日スピードの出る速い牛に乗り、長野の善光寺へ行って来た。お供はワイン専門店「カーヴ・ド・ヴェレゾン」のHさん(本田)、欧風食堂「ル・マルス」のNさん(中野)、男3人ぶらり旅である。7年ぶりの御開帳に見頃の桜が重なり、ものすごい人、人、人。触れるとご利益のある御回向柱まで、なんと1時間待ちだというから、いやはや参った。長蛇の列を横目に、名物の酒饅頭や味噌ソフトを食べながらゆっくり善光寺参りを満喫した。おみやげはやっぱり八幡屋磯五郎の七味とうがらしを・・・とそんな休日報告コラムはさておき、実は今回の長野行き本来の目的は「ぶどう植え付けのお手伝い」なのである。
長野に住む岡宮くんは、ヴェレゾンの本田さんとの共通の友人で、ワインのスペシャリストである。ワイン好きが高じ、自分でぶどうを植え、そしてゆくゆくはワインを造ってしまおうというのだから恐れ入る。小高い山の上、あらかじめ石灰を撒いて土壌改良をした畑に、赤ぶどうピノ・ノワール種と白ぶどうシャルドネ種の苗木が計100本ほど用意してあった。ブルゴーニュ好きの彼らしい選択である。この両品種は寒さに強く丈夫で順応性があるので、長野でも生育に問題ないようである。もちろんすべて害虫フィロキセラ対策がされた接木苗で、伝手を頼ってさがしてもらったそうだ。
さて10時、準備が整ったところでさっそく作業を開始する。まずスコップで50cm角に穴を掘り、真ん中をピラミッド型に盛り上げ、そこに苗木の根っこを四方に伸ばしてやる。手間のかかる作業だが、しっかり根付かせるためには最初が肝心だと万全を期す。3本4本植えて曲がりを確認し、支柱に結ぶ。一列植えて休憩し、シャンパン飲んで?また植える。・・・ワイン好きの同志が集まり、夢を1本1本植えていく。ぶどうは定植して5,6年で成木となり果房をつけるというが、おいしいワインを造るとなると最低10年はかかりそうだ。夢が膨らんでいくその成長が今からとても楽しみである。
今まで飲むという消費者視点でみていた「ワイン」であったが、今回の植え付けを体験したことで生産者視点で「ワイン」をみる事が出来た。あのロマネコンティの畑に立てられた十字架への願いがほんの少しだけ理解できた気がする。
植え付け作業は4時間ほどで終わり、近くの温泉で汗を流しながら男4人、夢などを語り合った。将来、今回植えたぶどうでワインを造り、皆で乾杯出来たらそれこそ最高である。そして夜はワイン談議に花を咲かせて盛り上がったのは言うまでもない。ちなみに酔い覚ましの散歩では夜桜を見ながら善光寺まで歩き、御回向柱に思う存分触れてきたので、少なくとも向こう7年間は植えたぶどうの木はすくすく育つと思われる。