石川県 金沢市近郊、白山市のイタリア料理、フランス料理、ベルギー料理、西洋料理の専門店 ゲデレー GODOLLO ベルギービール、フランスワインも充実
西洋料理店ゲデレー フランス料理、イタリア料理、ベルギー料理、ベルギービール、ワイン

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2010年02月15日

115 帆立貝

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扇子を開いたその形から「海扇」「扇貝」などともいわれるのは、ご存知「帆立貝」。その昔、貝殻の膨らんでいるほうを舟、平らなほうを帆にした帆立舟の格好で海上を千里も走ると空想され「帆立貝」と称された。なかなか粋で夢のあるネーミングである。まあ実際のところは貝殻を開閉したり噴射口から噴出す水の反動で移動するのだが、それでもかなりの距離を移動するそうだ。 写真はここのところ定番化しているゲデレーの大粒帆立料理。ソースは日によってまちまちだが、なかでもきのこなどが入ったクリームソースが好評である。火を入れた貝柱はすぐに水分がでて小さくなってしまうので、表面を強火でさっとソテーし、中は半レア状態にするのがコツ。コクのある白ワインと合わせるとまた格別である。その幸せなマリアージュに帆をあげて走り出したい気分になること請け合い!

2008年11月13日

083 ヒラメとカレイ

よく「左ヒラメに右カレイ」と言うが、私はその言葉自体の左右がどっちだったかいまだに覚えられない。ヒラメとカレイ、さすがに経験から見分けはつくが、見慣れない人には少々難しいかもしれない。いやしそうに大きい口をあけたのがヒラメで、おちょぼ口をしたのがカレイと覚えるとわりに簡単に見分けがつく。ただ、今はほとんどの魚が切り身や刺身になってパック売りされ、魚の顔を見て買うのではなく、表示シールの名前を見て買う時代である。スーパーで目の左右や口の大小に気を止める主婦はまずいない。

ヒラメのクリームソースさて、最近はヒラメも養殖物が多く、年中見かけるが、本来は寒ビラメと言われる冬の寒い時季に獲れる天然のヒラメが格別に美味いと言われる。裏側が真っ白なものが天然物なので、これも覚えておくと良い。逆にカレイの時季は春から夏で、あたたかくなると市場にはヒラメに代わって色々な種類のおいしそうなカレイが並ぶ。「夏座敷とカレイはえんがわがよし」と言われ、身よりもまわりのヒラヒラしたヒレのところを好む食通も多い。
ただ、ゲデレーのような西洋料理店では、カレイは今ひとつ人気がない。美味しいのは美味しいのだが庶民的な感じがあり、メニューとしてやはりヒラメ料理にかたよりがちになってしまう。個人的におすすめはクリームソース。白ワインやベルモットが香るエシャロットや野菜をつかったソースは、見た目より軽い仕上がりで、ヒラメの繊細な味を引き立ててくれる。香り高い白ワインとともにぜひ楽しんでいただきたい。

2008年07月12日

071 杏(アンズ)

クボタさん家の杏(アンズ)平安の時代、中国から入ってきたアンズは唐桃(からもも)という呼び名で書物に記されている。中国では2000年以上前から、アンズの種の中にある核「杏仁」をとるために栽培されていたという。医者が貧しい民の診察代の代わりとしてアンズの木を植えさせたほど、その「杏仁(キョウニン)」は薬として貴重だった。ぜんそくや咳止めに効くのだという。中華のコース料理の最後にかならず出てくるのは「杏仁(アンニン)豆腐」と読み方が違うのは薬用と食用とで使い分けするらしい。
ここまで聞くと、なんだか果実は用無しの銀杏のようだが、アンズは種だけでなくその実もベータカロテンやカリウムなどの栄養価が高く、疲労回復、食欲増進、老化防止に効果があるので、捨てては勿体無い!  いやいや、むしろ主役は実のほうですから・・・・・。 ヨーロッパでは、豚や鴨料理に甘いアンズのソースを合わせることがよくある。これはヨーロッパ系は甘みが強く、アジア系は酸味が強いという品種の違いなので日本のアンズでは、とんでもない酸っぱいソースに仕上がってしまう。やはり、酸味を生かしたデザートに使うのが良いと思う。

この時季になると毎年、近所のクボタさんがアンズを分けてくれるので収穫しに行ってきた。アンズの実はすぐ傷むので、出来るだけ早く煮てジャムにしなければ鮮度が落ちる。デザート用に今年はアマレットという杏仁を原料に使うイタリアのリキュールを入れて風味付けした。甘いアイスクリームなどにかけて食べると、その酸味とうまくマッチして良い。

デザート用に煮込んだアンズのジャムソース

おすそ分けの旬ものなので、鍋になくなり次第終了です(今年分もうわずか)。アンズお目当てのお客様はスタッフまで! もし売り切れで残念だったお客様はクボタさんまで。 また、木を植えたいお客様はお近くの植木屋さんまで・・・どうぞ。

2008年06月03日

069 フォアグラについて

ガチョウフォアグラのテリーヌ世界三大珍味といえば、キャビア、トリュフ、そしてフォアグラ。星付き高級レストランでは必ずこれら三食材を使ったメニューがあり、世界の美食家たちをうならせる。なかでもフォアグラはフランスを代表する特産品で、フランス料理には欠かせない食材ナンバーワンと言えるだろう。代表産地はフランスはドルドーニュ、ランド県やアルザス、ラングドック地方、ハンガリーはドゥナントゥール地方が有名で、それぞれの特徴をいかした多くの名物料理がある。

フォアグラとは、文字通り「foie 肝臓」「gras 太った」、ガチョウの肝臓を強制給餌(カヴァージュ)により太らせ、人工的に脂肪肝を作りだしたものである。もともと古代ローマ人がガチョウに干したいちじくをあたえ、その肝臓を食べたのが始まりらしいが、現在ではやわらかく蒸したトウモロコシを、じょうごで無理やり胃に詰め込む惨いやり方で作られている。ガチョウ以外に鴨のフォアグラもあるが、私は融点が高く、よりまったりとした食感が味わえるガチョウの方が好みなので、ゲデレーではオープン以来ハンガリー産のガチョウフォアグラを使用している。ただ、世界では今、そんな惨いやり方が動物虐待にあたるとして、生産や輸入を禁止する国が増えてきているようだ。美食家たちには少々心配な話である。
先日、ハンガリーからのガチョウフォアグラが届いた。仕入れ価格高騰で正直頭が痛いが、レストランにはフォアグラ!という使命感と、楽しみにしている常連さんたちの事を考えると外せない。「フォアグラのテリーヌ」はゲデレー定番の前菜となっているので、輸入規制がかかるまでは舌鼓を聞いていたい。

届いたばかりのハンガリー産の新鮮ガチョウフォアグラ

2008年05月27日

068 パセリについて

「じゃまな添え物」。私は100人中95人は、「パセリ」のことをそう見ていると予想する。安っぽい居酒屋で注文する唐揚げには、決まって乾燥した元気のないのが乗っかってくるし、新鮮でないものは食べても苦いだけで美味しくないからだ。とはいえ、残れば何度も使い回されるそのミドリの物体が「パセリ」のイメージとして定着するのは、あまりにも可哀想である。

パセリは正式名を「オランダゼリ」と言い、江戸時代にオランダから長崎に持ち込まれた。地中海沿岸が原産のセリ科の緑黄色野菜で、栄養価も非常に高い。ビタミンA、B1、B2、C、ミネラル、鉄分、特にベータカロチンが多く、老化防止やガン予防に効果がある。また料理に添えるのは、いろどりを補うだけでなく、口の中をさっぱりさせて口臭をおさえるためや、殺菌、胃や腸の調子を整える意味があることなども知っておきたい。

さて、近くの家族菜園には半畳ほどのパセリの一画を設けてあり、天気が良いと次から次へと育つので、それこそ唐揚げとペアが組めるくらいに、次から次へと収穫できる。とれたてのパセリは香りが良く、色も濃いので、新鮮なうちにオリーヴオイルとミキサーにかけて色鮮やかなパセリソースを作っておく。また、いろどりに使うパセリは若芽のやわらかいものを選んで添えているので、ぜひ料理と一緒に味わっていただきたい。少なくとも、「じゃまな添え物」の味ではないと解ってくれると思う。それから最近、料理に対してパセリの量が多いのでは・・・?と、微妙な盛り付けになる時があるが、今の時季だけ出現するサービス的な盛り付けなので。

菜園の新鮮なパセリ

あともうひとつ、菜園持ちの居酒屋の亭主がメニューに「鶏の唐揚げ パセリ添え」と書いたとしても、それは「名古屋コーチンの岩塩焼き レモン添え」や「自家製ローストポーク マスタード添え」といった言い回しと同じたぐいで何も悪くはないのだが?  なんか解せない。

2008年05月23日

066 きのこ

とれたてのきのこ人間は人間から遠いものを食べるとよいと言われる。我々人間が食べるものは、動物と植物と菌類、あとは水と塩。動物の食べるものは人間も食べられるが、植物の摂るものは人間はなかなか摂れない。まして菌類の摂る栄養となるといっそう人間には摂ることができないもので、これはその菌を食べることによってはじめて得られる。よってキノコを食べるのだと言う。キノコは菌類の花である。植物でも花を食すのは最高級趣向であり、栄養学的にもビタミンやミネラルを摂る最良の方法と考えられている。キノコとは「気の凝ったもの」、つまり「元気、力、精力の詰まったもの」という意味あいを持つとされるので、元気がなく気が滅入っている時はキノコを食べると良い。・・・そう信じて食べるのが良い。
椎茸(しいたけ)は椎の木に多く発生する、しめじは湿地(しめじ)に多く発生する、舞茸(まいたけ)は袖をかえして舞踊る、松茸は松の根元にでるキノコ、外国にもトリュフをはじめ、ジロール茸、ポルチーニ茸など香り豊かなキノコがたくさんある。ゲデレーでも季節にはヨーロッパ直送のキノコが入荷するので、その時は是非味わっていただきたい。ただ、素人はその辺の山に生えているキノコを勝手に食べないほうが良い。やはりそこは人間から遠い菌類、体が大きくなるキノコはないだろうが、笑いが止まらなくなるワライ茸ほか、どんな元気が出るか分からないキノコがたくさんあるので注意!!

追伸  時に年配の人がキノコを「コケ」と言うことがあるが、これは北陸地方の方言なので、コケずに聞き流してあげよう。

2008年05月09日

063 鱸(スズキ)

平清盛が伊勢より船に乗り紀州熊野へ詣でた際、船のうちへ大きなスズキが跳び込んできた。その昔、周の国の王が船に躍り入った白魚(ハクギョ)を大いに祀り、後に天下を平定したという故事にあやかり、傍の者たちは「これは平家御繁昌の兆しである」と手を打って祝したという。そのスズキは清盛が自ら調理し、郎党皆にふるまい、大いに杯をあげ伊勢の海で盛り上がった。これは平清盛が出世街道をまっしぐらに突っ走ることとなる、保元の乱よりちょっと前の話である。

入荷した新鮮な鱸(スズキ)

透き通るようなスズキの身は、刺身料理(カルパッチョ)はもちろんおいしいが、香草焼きやバターでソテーしてメイン料理としてもよく食べる。ホクホクした淡白な身は、色々なソースとの組み合わせを楽めるので、ゲデレーでも大きいスズキが入荷した時はメインの魚料理に使う。登場回数は、白身部門ではタイ、ヒラメなどとともに上位にランキングされる。鱸(スズキ)は、成長するにつれて「セイゴ」「フッコ」「スズキ」と出世したように名が変わるので、鰤(ブリ)と同じく縁起のよい出世魚と言われる。平家の出世がしら、清盛の吉兆魚も、尾ひれがついたおもしろエピソードのひとつとして今に伝わる伝説である。

2008年03月20日

060 ハマグリ

はまぐりの白ワイン蒸しハマグリが気持ち良さそうに殻から身を出している。そこへカワセミがやって来てその身をつついた。慌てたハマグリは両殻を合わせてそのくちばしを挟んでしまう。カワセミは言う。「こう挟んだまま今日も明日も雨が降らねば、お前は乾いて死んでしまうぞ。」ハマグリは答える。「こう挟んだまま今日も明日も殻を開かねば、お前は餓死してしまうぞ。」 そうやって意地を張っていると、そこへ漁夫が通りかかり両方生け捕りにされてしまった。・・・これはご存知、「鷸蚌(いっぽう)の争いは漁夫の利なり」と言われる、中国戦国策にある有名なことわざである。
一方日本でも、縄文貝塚から殻がたくさん出てきている他、「日本書紀」に献上品として、「源氏物語」には貝合わせ遊びなどが載っていることからも、ハマグリは古くから日本人に親しまれてきた海産物の代表と言える。また、ハマグリの殻は他のものとは決して合わないことから「一夫一婦」の教えとなり、今もなお3月節句や婚礼のおめでたい席では、ハマグリがここぞとばかりに存在感をアピールしている。

ゲデレーでも、クリームスープやパスタ料理、白ワイン蒸しや魚料理のソースにといろいろ使っているが、常時入荷はむずかしいため、予約時に確認をお願いしている。

2008年03月12日

058 いちご(苺)について

イチゴをつかったおいしそうなデザート春の訪れが近いちょうどこの時季、スーパーマーケットの入口付近は真っ赤なイチゴが占領し、おいしそうな甘い香りを漂わせる。香りに誘われ、ついついというお客さんも少なくない。果物のなかでは、特にビタミンCの栄養価が高く、季節の変わり目の風邪予防にこの「ビタミンCの女王」は最適である。イチゴの歴史は古いらしいが、栽培果実として日本に定着したのは100年ちょっと前なので、割りに新しい果物の部類に入る。子供の頃田舎の畑によく見かけたので、古い時代の人たちもこうやって食べていたのだと勝手に勘違いしていた。イチゴは別名「オランダイチゴ」と言い、江戸末期オランダ人によって長崎に伝えられたのだと言う。写真は本場オランダのイチゴで、日本より大粒でしっかりしていた。味も中まで赤くとても甘い。東の「女峰」、西の「とよのか」、日本ではこの2種が横綱を張っているとのことだが、最近は交配技術の進歩で色々な品種が出てきているので楽しみである。
ゲデレーでもこの時季のデザートにイチゴは欠かせない。また初夏には、畑のイチゴも大量に収穫できるのでソースなどにして使っている。何はともあれ、100年前の庶民には一期一会だった果物が、今や文字通り、母のように身近な存在になったことは好いことである。

オランダのイチゴ しっかりしていて甘い

2008年02月13日

051 ハチノス

美味しいトリップ料理
牛は4つの胃袋を持っており、それぞれに第1「ミノ」、第2「ハチノス」、第3「センマイ」、第4「ギアラ(赤センマイ)」と呼ぶ。焼肉店でもおなじみの名前だから、すぐ美味しそうなお肉が想像できることだろう。ヨーロッパでも内臓料理は結構食べられている。胃袋のことをいうtripeトリップ(仏)trippaトリッパ(伊)は頻繁にレストランのメニューに登場するので内臓好きの方は覚えておくと良い。パン粉をつけて焼くリヨン風やトマトと一緒に煮込んだローマ風などなど、各地の名物料理も多い。 第2の胃袋 縁なし帽ゲデレーのトリップ料理は牛の第2の胃「ハチノス」をつかっている。ハチノスとは文字通り蜂の巣に似ていることからついた名で、コリコリとした弾力のある食感が特徴である。下処理の段階である程度やわらかく煮込み臭みを消すのだが、厨房がとてつもないニオイに包まれるため、私はあまりやりたくない仕込みの上位にランク付けしている。また、内臓ホルモン焼きのホルモンとは「放るもん(すてるもの)」からきているとの俗説があるが、そのハチノス仕込みの日はその説が正しい!と確信する日でもある。そんなハチノスではあるが、それを野菜やソースと合わせ、ひとつの料理として仕上げるとこれが一転美味!!なんとも不思議な味で、言葉ではうまく伝えることが出来ないが、ぜひ一度味わっていただきたい一品である。

ちなみにこの第2の胃袋、仏ではボネbonnet、伊ではボネットbonettoと言い、訳は「縁(ふち)のない帽子」である。なるほど。

2008年02月11日

050 ふきのとう

恥ずかしげに顔を出すふきのとうたち先日、散歩の途中でふきのとうを見つけた。田んぼの横を流れる川の土手に恥ずかしげに顔を出していた。語源辞典によれば、フキの葉に先立って出る若い花軸をさし、「ふきのしゅうとめ」とも言うとある。食べると苦いので、嫁と比べて姑(しゅうとめ)は苦いものという意味でそう呼んだらしい。寒い地方では「麦と姑(しゅうとめ)は踏むがよい」と言われ、土を割る頃に踏みつけるとよいのがでると伝わっているそうだが、意味深である。果たして本当であろうか?
さて、ゲデレーではこの時季、旬のふきのとうを使った料理がおすすめ。ガーリックとオリーブオイルをベースにしたシンプルなソースにふきのとうを加えたスパゲッティーや、きざんで香り高い香草焼きなどなど。苦味成分は胃のはたらきを活発にし、のどの痛みや咳どめの効果もある。だが魅力は何といっても食欲をそそるその香り。どこかなつかしい「雪どけ時季の香り」とでも例えようか、これほど季節を感じさせてくれる食べ物を、私は他に思いつかない。寒くて長い長い冬を乗り越えた北国の人たちにはまた、大地からの格別の贈り物だ。さあ、ゲデレーで摘みたて春の香りを楽しんでみませんか。

尚、冒頭に「恥ずかしげに」と書いたのはあくまでも私の主観的印象で、姑(しゅうとめ)とは一切関係ありません。

2008年02月06日

048 茶のメレンゲ

茶はツバキ科の常緑低木で中国南部の霧の多い山岳地方が原産だと言われている。日本にも原生していたとの説もあるが、現在我々が飲んでいる茶は中国からのものと考えてよい。古くは729年、聖武天皇の時代、お寺で行茶をふるまったとの記録がある。最澄や空海も唐から帰朝した際に茶種を持ってきたようである。日本で茶の祖といえば京都建仁寺の栄西禅師を思い浮かべるが、それは栄西が「喫茶養生記」を著して茶の効能を説いたからで、鎌倉時代よりもっと古くから喫茶は行われていたのである。また、宇治茶と盛んに言われはじめたのは、室町に入り足利義政が茶事にふけり、宇治に茶園を設けて「宇治七園」と称した頃からとされる。やがて、武士のたしなみだ、侘びさびだ、などと言われ茶の道がもてはやされた戦国乱世の時代には、狭い茶室での内密話やはかりごと、茶道具は戦利品や褒美として扱われるなど、味わう茶ではなくなっていったように思う。強い武将にひいきにされたい商売上手な堺の商人たちが、茶道の確立に一枚も二枚もかんでいたのは有名な事実である。

焼きあがった棒茶のメレンゲ
さて、当店では食後に小菓子として、お茶風味の小さいメレンゲ(卵白と砂糖を泡立てて低温でじっくり焼いたお菓子)を出している。ふわっとお茶の香りを楽しんでいただけるのが好評で、味は抹茶や棒茶、ほうじ茶とその時々でいろいろ。西洋料理には合わない「和の味」かもしれないが、フランス三ツ星レストランでも今は日本の食材がどんどん使われているというから、食材に国境はない時代ということでご了承いただきたい。実は「越の初芽」という福井銘菓からヒントを得たのだが、それは抹茶風味のかためのメレンゲで驚くほど上品なお味である。

2008年01月31日

047 ネギについて

畑でとれた下仁田ネギ今年の冬もよくネギがとれた。鴨料理をはじめ、付け合せにはかならずというほどネギを添えたし、よくスープにもした。特に太めのものは甘みも強くクリーミーなスープに仕上がる。畑の一角には昨年から植えた下仁田ネギという極太ネギも見事に育った。独特のねっとりした食感と上品な甘さは、さすがにネギの一流ブランドだとあらためて感心した。
ネギは「葱」と書く。草木が青々と茂っている様を表す字で、「キ」というのが本来の読み方である。土の上のネギが青々と緑の濃いところからついた「葱(キ)」、根を食すことから「根葱(ネギ)」と呼ばれるようになったという。染物などの浅葱(アサギ)色はネギが浅き色という意味で、浅い黄色ではない。また、晩春にたくさんの白い花の集まった玉をつけるネギ坊主は「葱帽子(ギボシ)」という。橋の欄干などによくある擬宝珠(ギボシ)はこれに似ているからついた名前であて字である。・・・・どうでもよい雑学ですか。
まあとにかく、カブやダイコンそしてネギ、畑の黒い土の中からこんなに真っ白な野菜がとれるわけだから、自然の力はすごい。漢字の由来はさておき、けがれなき白を味わおうではないか。

ネギのスープ

2007年10月10日

041 いちじく

焼きあがったばかりのいちじくのタルト
アダムとイブが腰にまいている葉っぱ、ザクロやブドウと並んで世界で最も古い果物のひとつ「無花果(いちじく)」。小麦よりも古い人類最古の栽培食物では?との研究も現在すすんでいるという。1日に1個ずつ熟していくので、また1ヵ月で熟すので「一熟」、それが変化したというのが有力な由来のようである。
子供の頃、近所の大きないちじくの木に実が熟しはじめると競って食べた記憶がある。学校帰り、遊びつかれたわんぱくボーズ達の格好のおやつであった。(・・・もし木の持ち主が「大きいわりに実付きが悪い」とぼやいていたとしたら、ここでわんぱくの代表としてお詫びします。)
さて、この時季ゲデレーで使ういちじくは、妻の実家から届けられるとれたてのもの。赤黒くよく熟れたものは生ハムの添え物には格別。またたっぷりのせたタルトやシロップ、ワインで煮るコンポートなどデザートも抜群である。赤くない白いちじくと呼ばれるものもあり、甘みが強いが痛みやすいのでソースやジャムにする。栄養面では、カリウムが高血圧や動脈硬化予防に、食物繊維は腸の働きを活発にし便秘予防に、酵素は酔い醒ましに効く。

その昔は不老長寿の実とまでいわれ、薬の木とも称されたいちじく、古代から愛されてはいるがいまいち地味でトップスターになれないところがまたかわいい。ハナは無いが、これからもいぶし銀の魅力で秋の食卓を彩ってくれることは間違いない。

赤く熟したいちじく

2007年07月21日

037 茄子(なす)について

ゲデレーのコラム 茄子について紫紺のつやつやした肌、ぷっくりと下膨れたあいきょうのある体型、ついつい手にとってみたくなるが、新鮮な茄子ほどへたの部分のとげが鋭く注意が必要だ。最近は季節感なく野菜売り場で見かけるが、見分け方としては、首が太くへたに何本もすじがあるものがおいしい。早採りのものは首が細くて、味も落ちるようだ。
インド原産と言われ、日本には8世紀ごろに中国から入ってきた。夢占の大吉では「いち富士、に鷹、さんなすび」とあり、めでたく縁起のよい野菜。家康が大好きな「駿河富士、鷹狩、初茄子」に由来するそうだが、初茄子の値段が高かったことから高いものの象徴だとも言われている。現在は値段もそんなに高くなく、漬物、煮物、焼物、炒め物、蒸し物、揚げ物とどのように食してもおいしい、まさに万能野菜である。
紫紺色の皮にはポリフェノールが含まれ、有害活性酸素を除去し動脈硬化を防ぐ働きがあるが、実のほとんどは水分で、他の多くの野菜が持っているビタミン栄養素はほとんどない。よって他の食材と一緒に調理して、油や汁をなすに吸わせ間接的に栄養をおぎなうのがベストな方法だ。特に肉との相性がよく、脂がおいしい「豚肉」と「なす」は切っても切れない関係であろう。

ゲデレーでは茄子の時季、トマトと合わせたパスタやチーズ焼きはおすすめです。

ゲデレーでは茄子の時季、トマトと合わせたスパゲッティやチーズ焼きはもちろんおすすめ!添え物にも出来るだけ新鮮な茄子を使うよう心がけている。

2007年04月13日

034 剣崎なんば

アラビアータ、トマトスパゲティやアーリオオーリオエペペロンチーノにぴったりの剣崎なんば今やほとんどの国の料理に使われる食材「唐辛子」。日本でも文字通り「唐」から渡来し、食文化に深く根付いた薬味として重宝されている。よく使われる七味唐辛子の七味とは、とうがらし、胡麻、ケシの実、山椒、麻の実、ミカンの皮、菜種(なたね)のことで、そば屋などでは欠かせない究極の日本ブレンド物だ。
ビタミンCやカプサイシンの栄養素があるが、バクバクと丸かじりはできないので直接的栄養効果は期待できない。しかし、辛味成分には血液循環促進、食欲増進、殺菌効果、代謝促進などの薬効があるので、好みで料理に適量加えるとよい。韓国や中国に肥満が少ないのは、唐辛子の脂肪代謝促進効果のおかげであるとも言われている。

ゲデレーでは、主に辛味がアクセントになるパスタ料理、アラビアータやアーリオオーリオエペペロンチーノなどに使うほか、ピクルスやトッピングオイル、プリザーブの材料としてもいろいろな種類の唐辛子を探して使う。なかでも白山市の剣崎町で作っている「剣崎なんば」は最高だ。じっくり火を入れると香ばしくつよい風味が出て、辛さの後には上品なあまみが残る。よく見かける唐辛子の3倍ほどの長さで細いのが特徴、自分でも育てようと毎年苗を植えるが、普通のものに比べ難しいようだ。写真は昨年実ったものだが、店の使用量を自家収穫するのはさすがに無理であった。

個人的にも唐辛子、にんにく、豚肉がたっぷり入ったトマトスパゲッティ(アラビアータ)が好きなので、剣崎なんばと完熟トマトが揃った時は是非おすすめしたい自慢料理のひとつである。

剣崎なんばを使ったパスタ

2007年01月29日

031 うさぎ

うさぎ追いしかの山 小ぶな釣りしかの川
日本人なら誰もが知っている故郷を偲ぶ唱歌の一節である。


「因幡の白うさぎ」「かちかち山」「うさぎとかめ」などの昔話、「万葉集」「鳥獣戯画」にも見られることから、うさぎは古くから日本の山野には棲息していたといえる。一般に「兎」が書かれるが、これは略字で本字は「兔」。干支で「卯」を用いるのは、うさぎの耳に似ているからだという話だ。
仏教の影響により、牛や馬の肉を食べることがタブーになっていた時期でも、うさぎは鶏と同類と考えられていたので、貴重な動物性タンパク源として狩の対象となった。今でも一羽二羽と数えるのはその名残といえる。

コクのあるベルギービールで煮込むウサギの肉は格別味わいも鶏肉に似て淡白で、多くの料理方法がある。うさぎ通で評判だったフランスのルイ18世は、肉の匂いをかいだだけで何処で捕れたうさぎか言い当てたという。野生のうさぎの肉は、餌にする草が肉の香りを豊かにするのだそうだ。当時は直火で丸焼きが一般的だったようだが、最近は煮込み料理をよく見かける。ビール王国ベルギーには、ビールの種類によって様々な味の煮込みがあるが、アントワープのレストランで食べた「うさぎのグーズビール煮込み」は最高だった。当店でも、うさぎを仕入れた時は必ずコクのあるベルギービールで煮込む。ぜひ1度味わっていただきたい料理のひとつである。

2006年12月28日

029 寒鰤

「鰤おこし」この辺りでは12月師走の雷鳴をブリ漁の合図としてこう呼ぶ。私は富山県氷見市出身、お国自慢といえば「氷見の寒ブリ、日本一!」と決まっていた。とにかくあの脂がのった寒ブリは最高、格別だ。大学在学中、都会(といっても名古屋)の人たちにこのうまさを味わってほしいと思って実家から送ってもらっていたが、「ブリ」とあだ名がつきそうになって友人たちにご馳走するのをやめた。

ブリは1メートルを超す大型の回遊魚で産卵前の冬は栄養を蓄え、とにかく脂がのって格別においしい。厚く切って照り焼きや寒い時期はブリ大根も良いが、やはり個人的には刺身が好きである。栄養素も豊富で、脂部分には血栓を防ぐEPA、コレステロールを抑え脳を活性化させるDHAが多く含まれ、赤い血合い部分には肝機能を強化するタウリンをはじめミネラル、ビタミンE、B、Dを含んでいる。火を加えると脂肪酸が流れてしまうので、栄養を考えても刺身がよろしいのでは。
この時期はスーパーでもパック売りのブリの刺身をよく見かけるが、氷見では1メートルほどの大物でないとブリとは呼ばない。ご存知のように出世魚であるブリは大きくなるにつれ呼び名が変わる。氷見ではコズクラ、フクラギ、ガンド、ブリと出世していくが、それが関東辺りではワカシ、イナダ、ワラサ、ブリ、関西辺りではツバス、ハマチ、メジロ、ブリとなるそうだから、その地方で全く違う呼び名になる少々ややこしい魚だ。

いくらおいしいと言っても、西洋料理店ではさすがに醤油を添えてお出しすことは出来ないので、寒ブリが入荷するとゲデレーでは洋風お刺身カルパッチョとしてメニューに加える。塩コショウ、上質のオリーヴオイルにバルサミコやマスタード、時には醤油やわさびを隠し味にすることもあるが、新鮮なブリはどんなソースにも合う存在感があり、風味あるハーブサラダなどをあしらえば立派な前菜として仕上がるのだ。

2006年12月17日

027 牡蠣(かき)について

牡蠣(かき)

ローマの皇帝ネロは無類のカキ好きで、ひと口食べて産地を言い当てたそうだ。私も何年か前までは、カキの味なんてみんな同じと思っていたのだが、世界には色んな種類のカキがあり味も形もそれぞれ違うのには驚いた。日本でカキの産地と言えば何処を思い浮かべるであろう。広島?三重?三陸?それとも能登?

ベルギーの人気店「レカイエ・デュ・パレロワイヤル」ヨーロッパでは昔からスペルに「R」が付く月しか食べてはいけないとされてきた。つまり5、6、7、8月の4ヶ月間を除いた月だ。旬もあるが、おそらく昔は衛生面の問題で夏の暑い時期は食あたりが危ないのでそう言われたのであろう。日本でもカキはやはり冬のイメージが強く、鮮魚売り場にカキが並び始めるとそろそろ寒い冬到来といった印象を受ける。栄養面から言えば、カキは「海のミルク」と言われるほど栄養豊富で、肝機能を助けるタウリン、グリコーゲンをはじめ、亜鉛や鉄、特にミネラル含量は群を抜く。生ガキにはレモン(酸味)をかけることで、それらの吸収が高まるとのことなので、お酒のお好きな方はギュッとひと絞りをお忘れなく。

前掛けをした魚市場の牡蠣開け職人風のおじさんブリュッセル、グランサブロン広場にあるベルギーでも屈指の人気店「レカイエ・デュ・パレロワイヤル」は私がもっとも感銘を受けたレストランである。(当店カウンターに掛けてある魚が描かれた額は、結婚記念日だからと無理やりお願いして貰ってきたその店のメニューだ。)エカイエとはカキの殻を開ける職人のことで、文字通りこの店の売りは生ガキをはじめとした魚介料理。とにかく内装のセンスが良く、味も抜群。そして何といってもユニークなのが黒服のギャルソンに交じって、前掛けをした魚市場のカキ開け職人風のおじさんが料理を運んでくるところだ。せっかくだからとその時はベルギーで採れる3種類の生ガキ盛り合わせを頼み、シャンパーニュと合わせて楽しんだ。残念ながら雰囲気にのまれてカキの味の違いは覚えていない。ひとつ言えることは生ガキは新鮮さが命、殻を開けてみずみずしくプリッとしていないとだめ。修業時代、1日100個以上のカキを開け続けた経験から学んだことだ。

ゲデレーではこの時期、生がきはすべてのコース料理の前菜として選択可能。(だたし、品切れごめん!)

2006年12月01日

025 トレビスについて 色について

先日図書館でのこと。「世界各国の小学生が描いた絵」のコーナーが設けてあり、これがなかなか面白く、妻とふたりで見入ってしまった。国柄の違いが色彩感覚の違いとしてこれ程までハッキリ表れるのかと、思わず吹き出した。欧米人の子供が使う色のカラフルなことと言ったらない、驚いた。それに比べ、日本人(アジアでも中国は意外にカラフル)の描く絵はとにかく暗く、色が少ない。もし私が先生なら子供たちにはこう教える。「32色の色鉛筆をまんべんなく使い切りなさい」と。

さて、この鮮やかな赤紫色の野菜は、トレビス、トレビッツ、赤チコリとも言われ、イタリアが原産、キャベツに似ているがチコリの仲間である。チコリの仲間。トレビス、トレビッツ、赤チコリなどと呼ばれる西洋料理にはよく使われ、サラダはもちろんメインの横に1枚あしらうだけで、グッと料理が引き立ち、皿が華やかになる。特にイタリア料理には欠かせない野菜として人気。残念ながら鮮やかな赤紫色は熱に弱く、キャベツのような火を通しての利用価値は少ないので、やはりサラダ向きの野菜であろう。苦味が特徴の味はお世辞にもおいしいとは言えず、彩り効果として使う添え物どまりの感は否めないのだが・・。ただ、栄養面では生で食べることで高血圧の予防改善に良いカリウムが多く取れるそうだから、少々の苦味は我慢していただこう。
前のコラムでも書いたように、当店で使う野菜はできるだけ(家族の協力を得て)自家栽培でまかないたいと思っている。トレビスやズッキーニ、カラーピーマン、フルーツトマトなどの特種野菜は買うと結構な値段なので、うまく育ってくれた時はこの上なく嬉しい。昨年に比べ、今年のトレビスは出来が良いようなので、何軒か知人のレストランにもお裾分けして喜ばれている。

「食」と「色」との関係を考えた時、赤、黄、緑と多彩な洋食と違い、日本食はどうも地味な気がする。ごはん、味噌汁、焼き魚、煮物、漬け物、納豆、佃煮・・・・・。我々日本人の色彩感覚の無さ(地味さ)は、幼い頃の食卓から始まった差なのかも知れない。国それぞれの食生活の違いは仕方なかろうが、例えばテーブルに花を飾ったり、時には綺麗な色のクロスを掛けたり、トレビスを添えて料理を華やかにしたりと、色明るい食卓を演出する日々の心がけは、感性を豊かにする第一歩なのだと、今回この赤い野菜と子供たちの絵から学んだ。

2006年11月05日

022 サフランについて

ゲデレーでも大活躍のサフラン フレンチ、イタリアンには欠かせないサフランソースは私の大好きなソースのひとつである。
まぶしい色彩と奥深い香りが特徴であるサフラン、ペルシャ語のSafraサフラ(黄色)からきているらしい。クレタ島のクノッソス宮殿には、4千年前に描かれたサフランの花を採集する壁画が残されているというから歴史はかなり古い。世界最大の生産国はスペインで、パエリアに代表されるスペイン料理の多くにサフランが使われる。ブイヤベースをはじめとする魚介料理には、魚の臭みを消すのに効果的。また、鶏肉との相性も抜群で、サフランをひとつまみ加えるだけで、香り高く上品な味わいに仕上がる。インドや中国でも生産されているが、スペインのバレンシア産が最高級とされている。黄金色が神聖とされた中世から王侯貴族の宴会料理にも使われており、上流階級のステータスでもあったようだ。また、サフランは悟りの象徴ともいわれ、仏教僧侶の黄色の衣服は昔サフランで染色されていたそうだ。

園芸用のクロッカスに似たサフランクロッカスの雌しべを丁寧に乾燥させてつくるのだが、1つの花から3本しか採れず、気の遠くなるような作業だ。色、香りの高貴さに加え、貴重とくれば、香辛料の中で群を抜いて高価なのもうなづける。神聖ローマ帝国の時代には、ベニバナをサフランと偽って儲けていた商人が、見せしめのために火あぶりの刑になったという記録も残っている。そんな人々を惑わし魅了してきたサフラン、まさに香辛料の宝石という言葉がピッタリだ。


2006年08月04日

012 バナナ

栄養豊富で健康食としても注目のバナナ日本には語呂合わせ記念日がよくあるが、8月7日はバナナの日。バナナといえば、常にスーパーマーケットの入り口付近に陣取り、買い物客を出迎えてくれるもっとも大衆的な果物。ただ、年配の方々には多少思い入れが深い果物のようで、高級なイメージがまだ残っているらしい。というのも、フィリピンなどから大量生産の安いバナナが入って来るまでは、バナナといえば台湾産で、価格も今の倍以上はしていたというからそれは高級だ。特別な日か、病気をした時にしか食べられなかったというのも大げさな話ではない。1963年の輸入自由化を皮切りに価格はどんどん安くなり、バナナはみんなに愛される極々身近な果物となった。そしてバナナの皮は、いたずら小僧の必需品として活躍した。

「昔のバナナはおいしかった」とは多少ひいき目であろうが、防疫の関係で未熟で青いバナナしか輸入出来ない現在のものと比べ、熟れて甘みのいっぱい詰まったバナナを味わっていたのは本当だ。濃い黄色に熟したバナナは甘くておいしいのだが、ほとんどが船の中で熟してしまうので、売り手側の品質管理も大変だったらしい。「バナナのたたき売り」なんて言葉はもう死語となり、今や古い映画でしか観る事が出来ないが、当時は威勢よくテンポある掛け声が各地で飛びかっていたのだろうか。

値段は安いが栄養素は豊富で、カリウム、マグネシウムがとても多く含まれる。スポーツ選手が競技の合間に食べているのをよく目にするが、簡単にエネルギー補給するのに欠かせない健康食として認められているのだ。当店もデザートの添え物によく使っている。また、食感が似て、甘みの具合も合うので、フォアグラのテリーヌと一緒に盛り付けることも多い。

2006年08月01日

011 黄金の果実

ゲデレーではトマトソースは生のトマトしか使わないゲデレーではパスタアラビアータ(トマトソースのパスタ)と決めているお客様が何人かいらっしゃるようだ。とてもありがたいことであるが、年中同じ味をつくるのは正直たいへんだ。というのも、当店は生のトマトしか使わないので100個のトマトからは微妙に違う100種のトマトソースが出来る訳だ。麺をあえる何秒間かのなかで判断し1つの味を決める。塩やコショウ、茹で汁やオイル、時には砂糖を加えたりもするのだが、こればかりは自分の舌と経験から学んだことであり、人に教えるのは難しい。
これからトマトの季節で、味がしっかりと詰まりおいしくなる。土の焼ける暑い時期が旬で、そのままかじると青臭くて懐かしい夏の味がする。14世紀頃のインカ帝国時代、南米アンデス高原に生まれたその茄子科の雑草は、その後メキシコに伝わり栽培され、ヨーロッパに伝来したのは海洋時代の16世紀。当初は鑑賞用として小さい黄色の実をつけていたが、イタリアで改良がくり返されて現在の姿に変身したらしい。

「トマトが赤くなると医者が青くなる」と言われ、太陽の光をたっぷりあびて真っ赤に育ったトマトには豊富な栄養素が含まれる。特に、ビタミン、カロテン、カリウム、ペクチンが多く、高血圧や肝臓病に効果があると言われている。イタリア語でポモドーロ、当時、その色から付けられた「黄金の果実(リンゴ)」という意味だが、今や文字通りの価値ある野菜に生まれ変わったようだ。天の恵みに感謝!

2006年07月17日

009 ズッキーニ(イタリア語)クールジェット(フランス語)について

イタリア料理にかかせないズッキーニ「ククルビタペポ」というややこしい学名をもつこの野菜、形はきゅうりに似ているが、実はかぼちゃの仲間。カリウム、カロテン、ビタミンA、C、亜鉛、鉄分などの栄養素が豊富で、健康野菜として地味ながら頑張っている。もともとメキシコが原産で日本に入ってきたのは1970年代半ば、歴史の浅い野菜だがここ何年かのイタリア料理ブームで、ズッキーニの名はよく聞くようになった。緑と黄色があり、今やレストランではメインの横にあしらう野菜としては欠かせない存在だ。もちろん野菜料理として立派な一品(衣をつけて揚げるフリットなど)にもなる。最近は近くのスーパーでもチラホラ見かけるが、巷での人気は今ひとつのようだ。

先日、そのズッキーニを収穫しに畑に寄った。まさしく旬なのであろう、パンパンではじけそうな大物がゴロゴロなっており驚いた。ひとつひとつ順番に大きくなると都合がよいのだが・・と袋に詰めながらぼやいたが、それは自給自足の醍醐味であり、保存する知恵もそこから生まれるのだと思った。そんな訳で当店では、出来るだけ家族が一生懸命に育ててくれる獲れたての野菜を使うよう心がけている。不揃いなどなんのその、新鮮さでカバーだ。この辺の田舎では普通なのかもしれないが、都会ではズッキーニ1本300円程だして仕入れるそうだから、東京や名古屋でレストランをしている知人が羨ましがるのもうなづける気がする。

2006年06月26日

008 胡椒

黒胡椒の粒香辛料の歴史は紀元前にまでさかのぼる。シナモン、コショウ、ショウガなど東方の香辛料をヨーロッパへ運ぶルートを支配することは、その当時の権力者にとっては天下取りの第1条件だった。1世紀になると、古代ローマ社会では贅を尽くした豪華料理を競い合うことが流行し、需要が頂点に達するとスパイスの値段は急騰、特にコショウは食卓の王様となった。たかが植物の種にすぎないのだが、それらの値が金銀と同じとなれば話は別。民族間の戦争も珍しくなく、人々は次々と荒海へと漕ぎだし、スパイスの確保に躍起になった。普段何気なく使っているコショウだが、その1粒1粒に波乱万丈の歴史が詰まっているのだ。
私は個人的にコショウが大好きなので、料理によく使う。ゲデレーの料理の約8割は仕上げに挽きたてのコショウがかかっていると言ってよい。料理の味は最初のインパクトで決まるというのが持論でして・・・。やさしい白コショウより、香りの強い黒コショウの方が刺激的で食欲もそそる。コショウはコショウ科の熱帯植物で、実は熟すにしたがって緑色から赤色に変わる。熟す前の緑色のうちに摘み取り乾燥させると、表面にしわが寄り果皮が黒くなる、これが黒コショウ。赤く熟すまで待って摘み取り、水に浸して皮をとり乾燥させる、これが白コショウだ。白と黒は種類の違いではなく果皮をとるかとらないかという事。
カリカリと音を聞きながらミルを両手でまわすのがよい。香りが命、やはり挽きたてがよい。古代ローマの食卓を想像しつつ、いつもより余計にまわっておりまあぁす。

2006年05月20日

002 パルマの熟成生ハム

パルマ産生ハムの原木高級生ハムと聞いてまず思い浮かぶのは、スペインのハモンセラーノとイタリアのパルマハムであろう。かたく乾燥させ噛むほどに味が出るタイプの前者に比べ、後者はやわらかく塩分少なめで、甘みがあるのが特徴。うすくスライスし、メロンやいちじくを添える前菜が一般的だが、色々な食材に巻いて調理したり、スープや煮込みのコク出しに使うなど料理のバリエーションは豊富。当店でも開店以来、パルマ生ハムを使用しており「イタリアパルマ産熟成生ハム」は人気No.1の前菜である。

パルマ産の生ハム、そのおいしさの重要な秘密は次の2点。1つは、適度な湿度を保つ地形とアペニン山脈を越えて吹き込む海からの風により、熟成中の微妙な温度調整ができ、少なめの塩で仕上がる点。もう1つは、有名なチーズ、パルミジャーノレッジャーノを作る際にでるタンパク質の多い乳清を飲ませることで、脂身の厚いやわらかい豚が育つ点だ。

また、ワインやチーズと同様に、1970年には品質保証法(DOT)が制定された。豚の種類はもちろん、飼料穀類や生産過程でいくつもの検査があり、認証を見れば豚の生年や養豚業者、加工月まで分かる徹底ぶりだそうだ。変わらぬおいしさの裏には、厳しい規定をクリアするための職人達の見えない努力があるのは言うまでもない。味の形容はいろいろあるだろうが、「うまい!」の一言で片付けて良いと私は思う。

切りたてのパルマ産生ハム メロン添え