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132 五劫のすりきれ

新年あけましておめでとうございます。

会うといつも心が和む。思わず抱きつきたくなるほど愛くるしい。写真は私の大好きな仏像のひとつである。なんでも、最も優れた浄土を生み出し一切の衆生を救うため、長い間独座思惟中の阿弥陀さまの姿を表現しているらしい。先日ふと立ち寄ってみると、彼はそこに座ったまま、まだじ~っと思いにふけっていた。しばらく見ない間に、髪の毛もまたずいぶん伸びたような気がする。
殺伐とした世の中のことをすこし憂い、「救いのお考え、そろそろまとまりそうですか?」と訊ねてみた。もちろん石仏像が答えたことは一度もないのだが、思惟中というよりも「希薄な人間関係に思いやりや慈悲心も無くしている現代人など、極楽浄土へ救う価値はない!」と無視されているようだった。その時の主観で感じ方が変わるのか?それともそれが今伝えようとしている彼の本当の声なのか・・・?

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「五劫(ごこう)のすりきれ」という言葉がある。三千年に一度、天女が舞い降りてきて、はごろもで岩をひとこすりする。それを繰り返し、その岩がすりきれて無くなってしまうのが「一劫(いっこう)」なのだそうだ。この阿弥陀さまの御名は「五劫(ごこう)思惟阿弥陀」。髪の毛は視覚的に時間の経過を表すために、伸びて鉢をかぶったようになっているが、これはアンバランスな失敗作ではない。

人間の一生は限られているし、今も時間は流れ続けている。先日、2歳になる息子が「女の人が岩をこすっているのを見たよ」と言っていたから、はごろもの天女に出会う楽しみも、私にはもう消えたようだ。人生においてわれわれは、志を立て、目標を持ち、節目節目で自分の生き方を総括してみる。そしてそれを繰り返しながら生活している。日々さまざまな判断をし、責任ある決断にも迫られる。どのように「判断」し、どの時点で「決断」とするのか、これはなかなか難しい。また限られた時間のなかで出した「決断」が最良なのかと迷うこともしばしばある。ただ、自分でよく見極めて自分で決断することは、人生の楽しみのひとつであるのは間違いないと思う。

「億劫」とは百千万億劫の略、つまり無限の長い時間を意味する言葉。何かめんどうくさいことをやらねばならない時、われわれはまず、かなり長い時間がかかるだろうと考え、「億劫(おっくう)だ」と表現してしまう。2011年、西洋料理店ゲデレーは、おかげさまで10年目を迎える。(阿弥陀さまには、たった10年かと笑われそうだが・・) 億劫にならずに前向きに、そして何よりも自分の「判断力と決断力」を信じ、今後もいろいろな目標にチャレンジしていきたい!