家族で水中トンネルをくぐってきた。そこは頭の上を流れる水が空を映しだす、とても神秘的な空間である。澄んだ水は太陽の気分次第で濃くもなり薄くもなる。また光の屈折や反射によっては、赤や黄色も見え隠れする。水ってこんなに違った表情があったんだ、と意外なところで思わぬ感動をした。水は「みずいろ」のクレヨンで描くものだと思い込んでいた幼い頃の自分、そんな観念が頭に浮かび、なんだか急に切なくもどかしくなった。そしてしばらくキラキラ輝くたくさんの水色を眺めながら、凝り固まった長年の観念を溶かすのだった。1歳の我が子にはこの水色はどのように映ったのだろう・・・?
家系が繰り返し代々続くようにと、お正月の鏡餅の特等席に座るのが橙(だいだい)。そのみかんのような実は、冬は熟して赤黄色だがとらずに木にそのままおいておくと、夏にはまた緑色に戻るそうだ。つまり幼い頃よく使ったクレヨンの「だいだいいろ」は、「お正月に鏡餅の上にのっているだいだいの色」というわけだ。さらに言えば「はだいろ」は「日本人の肌の平均色に近いと思われるが、あくまでもひとつの例としてのはだ色」ぐらいの表現が適当だったのではないか。重箱の隅をつつくつもりはないのだが、固定観念にとらわれすぎて考え方がかたくなってしまうのは、非常に厄介だと思ったもので・・・。信念はかたく!観念はやわらか~く! 人生、そういきたいものだ。
追伸 このコラムは、店主の私が休憩時間などに書き連ねたものを掲載しております。内容は料理や食材、ワインのことだけに限ってはおらず、今回のように個人的な思いや考えなども「休日の1枚」や「その他」のカテゴリー枠をとり、書くことがあります。料理店のコラムではございますが、どうぞ観念やわらかくご覧くださいませ。