079 フランス旅行記 ボルドー サンテステフ編
ラフィットの丘を超え、サンテステフに向かう。サンテステフと言えば、コス・デストゥルネル、モンローズ、カロン・セギュールのトリオである。この3つのシャトーはそれぞれに根強いファンを持っており、サンジュリアンのラスカーズ同様、1級に引けをとらない評価を受けることもしばしばである。特にモンローズは昔からポイヤックの「ラトゥール」、サンテミリオンの「オーゾンヌ」とともにボルドーで最も長熟な(飲み頃になるのが遅い)ワインとして有名で、モンローズ信者なる者も多いとか。もっともサンテステフワインは渋みの強いタニックさが身上で、そのタンニンがまろやかになるまではある程度寝かせる必要がある。最近はだんだん早飲みに移行してきた感はあるが、それでも10年は寝かせたい。
ラフィットがポイヤック最北なので、すぐ隣がサンテステフのコス村だった。その「COS」という標識の向こうに見覚えのあるアジア調の建物が「ようこそ!サンテステフへ」と出迎えてくれた。コス・デストゥルネルのシャトーがラベルそのまんまの姿で建っている。シャトーが描かれていることの多いボルドーの中でも、ひときわ目を引き印象深いラベルがこのコス・デストゥルネルだ。「コス」と聞いて、エレガントな味わいとともにアジア調のこのシャトーを思い描くのは、ワイン好きなら当然であろう。
モンローズの畑はジロンド河をのぞむ小高い丘に広がっていた。車がすれ違えない細い道を入っていくと小さな鷲の門が見える。車を降りて1枚パシャリ!もう1枚パシャリ。横にある作業小屋の前で7,8人がタバコを吸いながら畑作業の準備をしていた。しばらく手を止めて鷲の写真を撮っている物好きな日本人を観察していたが、私の「ボンジュール!」に笑顔で答えた後は、なんだか誇らしげに畑へと歩いて行った。お世辞にも立派なシャトー構えではないが、そんな誇りを持って仕事をしている彼らに支えられ、天下のシャトー・モンローズが産まれると実感した。
今回私は数々のシャトーをまわって来たが、最も印象に残っているのが「カロン・セギュール」である。日本でもハートのかわいいラベルが人気のワインなので、知っている人も多いと思う。ただ、格付けされたシャトーではボルドー市からいちばん遠い位置にあり、人気のわりに訪問者は少ない。(最北のカロンに限らず、よほどの思い入れがないとサンテステフにまでわざわざ足を運ばないだろう。)また、現在もオーナーが住んでいる数少ないシャトーでもある。抹茶茶碗の名品も使うことにより味わいが深まるように、そこで暮らすことで風格が増す、ワイン造りにとっても大事な要素なのかも知れない。生活感まではないが、オーナーのあたたかい愛情が注がれたシャトーという感じだ。目立つ案内看板は出さない主義だと言うから、見せ物的なシャトーでないことがまた心をくすぐる。探して探してたどり着いたカロン信者に、シメトリーなすばらしいシャトーと丘にひっそり建つ教会がまぶしかった。1級より3級のカロン。その心がすこしだけ分かったような・・・・。









