039 スーパーマーケット
旅先では必ずその街の台所を訪れる。市場はおもしろい。ヨーロッパでは、たいてい週に1日は街の中心の広場で朝早くからワイワイガヤガヤとやっている。カラフルなテントを立て、ショウケースの中には新鮮な魚や肉、ハムやチーズ、パン、フルーツ、野菜・・・。地元の人たちはみんな思い思いの買い物をして足早に去って行く。どうも自分のひいきの店が決まっているようだ。店の人も手際よく次々品物をはかりにかけ、2、3言のやりとりがあってお金を受け取る。こうした人間ウオッチングで2時間は楽しめる。
スーパーマーケットもおもしろい。細かな日用品から食品、お酒まで揃う総合店はもっとも生活感の出る場所だからだ。パンやワインの種類に感動し、チーズの大きさに驚き、雑貨はデザイン性の豊かさに感心する。はかり売りが多く、なんでも少量から買えるところなどは、とても合理的で日本のスーパーでも取り入れてほしい。また、大半の店はレジ袋有料。こびない姿勢がまたステキである。
あることに興味を持ち、心を動かされることというのは、その人が生活してきた過去の体験とそれに基づく現在の想いをベースに比較判断している。ヨーロッパ、ゴシック建築の教会や中世の石城、古い大聖堂やカリヨンなどは、普段の生活とはかけ離れすぎていて「感動」とはすこし別の「すごい」という枠の中に分類されてしまう。つまり感性を刺激するというより、記念撮影の被写体どまりといった認識に近い。そんな歴史的建造物や観光名所よりも、街の人たちが日々生活している住宅街や裏通り、市場やスーパー、レストランの方が私にとってはよほど興味深く心が動かされる場なのである。特に、スーパーマーケットはその土地の生活を映し出す鏡だと思う。





