036 ワイン
戦国時代劇で時折、「これは、めずらしい南蛮渡来の酒じゃ」と言って小さなグラスでワインを飲むシーンをみかける。ワインが日本に入ってきたのはちょうど16世紀の安土桃山時代、フランシス・ザビエルが西国の武将大内義隆に献上(1551年)したのが始めとされている。当時の人々の目には、血の色をした贈り物、さぞ奇妙な飲み物と映ったであろうが、ひと口飲めば酒の魅力は万国共通、武将同士でワイン樽を取り合いになったとかならなかったとか。
お酒のアルコールはすべて100分の1ミリ程の微生物「酵母」によって造られる。酵母が生み出す酵素の力で糖をエチルアルコールと炭酸ガスに分解するのだ(アルコール発酵)。では酵母はどこにいるか? ワインの場合、酵母はぶどうの果皮に付いている。最近では優良な培養酵母も用いられているようだが、ワイン造りの盛んな地方には、空気中にたくさんの天然酵母が存在するし、古い歴史のある醸造所にはそこに根付いている専用酵母が居て、味の特徴を決める手助けをしているというから驚きだ。
めんどうなことに、ビールや日本酒のような穀物を原料とする酒は、まず穀物のでんぷんを麦芽糖やぶどう糖に糖化してやらないと酵母がアルコール発酵できない。その点、(ぶどうが既に甘い)ワイン造りには、糖化という余分な手順は必要ないので、簡単に言えばぶどうを潰すと同時に酵母がアルコール発酵を始めてワインができあがるという訳だ。つまりワインの歴史は、紀元前3000年も前に人類がぶどうを貯える容器を発明した時から始まっているのである。
さて、このコラムでワインの歴史を長々と書くつもりはない。ただ、日頃からワインをもう少し楽しんでいただきたいという想いから、これだけは知っておきたい基礎知識を少しずつこのコラムで紹介したい。私の持っている知識と経験を基に、日本人を虜にした南蛮ぶどう酒をひとつひとつ、とにかく解りやすく説明していきたいと思う。だからもう「ワインは難しくてどうもなぁ」なんて言わないで。
ゲデレーでは、定期的にワインの勉強会を催しております。ちなみに前回はフランスの赤ワインをぶどうの品種別に飲み比べてみました。カベルネソーヴィニヨン、メルロー、ガメイ、ピノノワール、シラー。





