027 牡蠣(かき)について

ローマの皇帝ネロは無類のカキ好きで、ひと口食べて産地を言い当てたそうだ。私も何年か前までは、カキの味なんてみんな同じと思っていたのだが、世界には色んな種類のカキがあり味も形もそれぞれ違うのには驚いた。日本でカキの産地と言えば何処を思い浮かべるであろう。広島?三重?三陸?それとも能登?
ヨーロッパでは昔からスペルに「R」が付く月しか食べてはいけないとされてきた。つまり5、6、7、8月の4ヶ月間を除いた月だ。旬もあるが、おそらく昔は衛生面の問題で夏の暑い時期は食あたりが危ないのでそう言われたのであろう。日本でもカキはやはり冬のイメージが強く、鮮魚売り場にカキが並び始めるとそろそろ寒い冬到来といった印象を受ける。栄養面から言えば、カキは「海のミルク」と言われるほど栄養豊富で、肝機能を助けるタウリン、グリコーゲンをはじめ、亜鉛や鉄、特にミネラル含量は群を抜く。生ガキにはレモン(酸味)をかけることで、それらの吸収が高まるとのことなので、お酒のお好きな方はギュッとひと絞りをお忘れなく。
ブリュッセル、グランサブロン広場にあるベルギーでも屈指の人気店「レカイエ・デュ・パレロワイヤル」は私がもっとも感銘を受けたレストランである。(当店カウンターに掛けてある魚が描かれた額は、結婚記念日だからと無理やりお願いして貰ってきたその店のメニューだ。)エカイエとはカキの殻を開ける職人のことで、文字通りこの店の売りは生ガキをはじめとした魚介料理。とにかく内装のセンスが良く、味も抜群。そして何といってもユニークなのが黒服のギャルソンに交じって、前掛けをした魚市場のカキ開け職人風のおじさんが料理を運んでくるところだ。せっかくだからとその時はベルギーで採れる3種類の生ガキ盛り合わせを頼み、シャンパーニュと合わせて楽しんだ。残念ながら雰囲気にのまれてカキの味の違いは覚えていない。ひとつ言えることは生ガキは新鮮さが命、殻を開けてみずみずしくプリッとしていないとだめ。修業時代、1日100個以上のカキを開け続けた経験から学んだことだ。
ゲデレーではこの時期、生がきはすべてのコース料理の前菜として選択可能。(だたし、品切れごめん!)




