石川県 金沢市近郊、白山市のイタリア料理、フランス料理、ベルギー料理、西洋料理の専門店 ゲデレー GODOLLO ベルギービール、フランスワインも充実
西洋料理店ゲデレー フランス料理、イタリア料理、ベルギー料理、ベルギービール、ワイン

« 2006年11月 | メイン | 2007年01月 »

2006年12月31日

030 こころざし

1年の計は元旦にあり。年の初めに掲げる目標ときたらこれまたいい加減なもので、春ぐらいになるとコロッと忘れてしまっていることが多い(のは私だけであろうか)。あれこれ欲張りな私の場合、振り返ってみると達成出来なかった目標が山のようにあり、お恥ずかしいかぎりだ。最近はあまり具体的な細々した目標は公言しないようにしている。ただ、目指すものが小さすぎてもやる気が起こらない性分であるからして、内に秘めた目標はできるだけ大きく持とうと心がけてはいる。

若い頃からの夢は、「ポルシェに乗ること」であった。人から見ればバカと思われたかもしれないが、至って真剣であった。最初はただの憧れから抱いた夢が、大人になるにつれ、具体的な目標となり励みになっていったようである。社会に出ていろいろな事を経験し、一流品のネクタイを締めるためには、それに合う服、靴、時計、そしてなにより中身が必要なのだと学んだ時、もっと自分を磨き、見合う人間になりたいと仕事や遊びにとにかく一生懸命であった。少年時代の浅はかだがデッカイ「目標」が、少なからず今の私を育てたのは間違いない。

「少年よ大志を抱け」という有名な言葉がある。私も志は大きく持とうと心がけている。もちろん、志はデパートやくるま屋で買えるものと違うことぐらい分かっている。志とはそんな欲や見栄の絡むものではなく、いわばその人の信念に近い、もっと心の奥の清らかな部分で燃えているもの。大きい炎を燃やすということは、それだけの油が必要だということも承知している。(その点ではポルシェともいっしょなのだが・・・。)

5年前、大きな「志」を持ってつくったゲデレー、認知度はまだまだ低いがおかげさまでたくさんのコアなファンが応援してくださる。私自身、勝負した5年間であったからこそ、ごひいきをいただいたお客様には、これからもっと心地よい空間、時間を提供して恩返しをしていきたい。もう少年という年ではないが、でっかい「志」を抱いてこれからも頑張っていこうと思う。西洋料理店ゲデレーを愛するお客様のために、そして我が人生を楽しむために。


2007年もどうぞよろしくお願い申し上げます。



2006年12月28日

029 寒鰤

「鰤おこし」この辺りでは12月師走の雷鳴をブリ漁の合図としてこう呼ぶ。私は富山県氷見市出身、お国自慢といえば「氷見の寒ブリ、日本一!」と決まっていた。とにかくあの脂がのった寒ブリは最高、格別だ。大学在学中、都会(といっても名古屋)の人たちにこのうまさを味わってほしいと思って実家から送ってもらっていたが、「ブリ」とあだ名がつきそうになって友人たちにご馳走するのをやめた。

ブリは1メートルを超す大型の回遊魚で産卵前の冬は栄養を蓄え、とにかく脂がのって格別においしい。厚く切って照り焼きや寒い時期はブリ大根も良いが、やはり個人的には刺身が好きである。栄養素も豊富で、脂部分には血栓を防ぐEPA、コレステロールを抑え脳を活性化させるDHAが多く含まれ、赤い血合い部分には肝機能を強化するタウリンをはじめミネラル、ビタミンE、B、Dを含んでいる。火を加えると脂肪酸が流れてしまうので、栄養を考えても刺身がよろしいのでは。
この時期はスーパーでもパック売りのブリの刺身をよく見かけるが、氷見では1メートルほどの大物でないとブリとは呼ばない。ご存知のように出世魚であるブリは大きくなるにつれ呼び名が変わる。氷見ではコズクラ、フクラギ、ガンド、ブリと出世していくが、それが関東辺りではワカシ、イナダ、ワラサ、ブリ、関西辺りではツバス、ハマチ、メジロ、ブリとなるそうだから、その地方で全く違う呼び名になる少々ややこしい魚だ。

いくらおいしいと言っても、西洋料理店ではさすがに醤油を添えてお出しすことは出来ないので、寒ブリが入荷するとゲデレーでは洋風お刺身カルパッチョとしてメニューに加える。塩コショウ、上質のオリーヴオイルにバルサミコやマスタード、時には醤油やわさびを隠し味にすることもあるが、新鮮なブリはどんなソースにも合う存在感があり、風味あるハーブサラダなどをあしらえば立派な前菜として仕上がるのだ。

2006年12月20日

028 クリスマス

日本人ほど宗教、信仰にこだわらない国民もめずらしい。先月京都のあるお寺で出会った20代のカップルは、首から十字架のネックレスをさげ、パンパンと2回かしわ手を打ってお参りしていた。妙な感じだったが、彼らも幸せを願ってのことだ。

教えや信仰心はどうであれ、私たちが子供の頃はクリスマスにはサンタクロースがプレゼントを持ってやって来ると信じていた。自分の背丈ほどあるクリスマスツリーを飾り、枕元には出来るだけ大きい靴下を置いて眠ったものだ。サンタクロースという呼び名は、もともとオランダ語の方言Sante Kiaas(聖ニコラウス)からきたもので、実在した人物がモデルといわれている。寒い冬、慈悲深い心を持った彼は恵まれない人々に金貨を届けてまわっていた。貧しくて家族と離れ離れになる可哀そうな少女がいたが、その晩ニコラウスが投げ入れた金貨が暖炉に干してあった靴下に入り、その少女と家族は一緒に幸せに暮らすことができたという心温まるお話があるそうだ。サンタさんに最新のゲームをお願いする最近の子供たちにはとうてい分からない話だが・・・。

そんな聖ニコラウスのおかげもあり、ゲデレーも毎年クリスマス時期は早々に予約で一杯になる。聖なるクリスマスの雰囲気づくりにと、12月には店内にクリスマスツリーを飾ることにしている。妻が幼い頃に使っていたツリーを引っ張り出してきたのだが、その古いレトロ感が店とマッチして良い。冬でも葉が落ちないモミの木は永遠の命の象徴として古くから愛されてきたようで、妖精が宿って幸せを運んでくると信じられているそうだ。ゲデレー開店時に植えた駐車場のモミの木もずいぶん大きく(宿りごろに)成長したので、そろそろ妖精たちが笑っている姿が見られるのではと期待している。

2006年12月17日

027 牡蠣(かき)について

牡蠣(かき)

ローマの皇帝ネロは無類のカキ好きで、ひと口食べて産地を言い当てたそうだ。私も何年か前までは、カキの味なんてみんな同じと思っていたのだが、世界には色んな種類のカキがあり味も形もそれぞれ違うのには驚いた。日本でカキの産地と言えば何処を思い浮かべるであろう。広島?三重?三陸?それとも能登?

ベルギーの人気店「レカイエ・デュ・パレロワイヤル」ヨーロッパでは昔からスペルに「R」が付く月しか食べてはいけないとされてきた。つまり5、6、7、8月の4ヶ月間を除いた月だ。旬もあるが、おそらく昔は衛生面の問題で夏の暑い時期は食あたりが危ないのでそう言われたのであろう。日本でもカキはやはり冬のイメージが強く、鮮魚売り場にカキが並び始めるとそろそろ寒い冬到来といった印象を受ける。栄養面から言えば、カキは「海のミルク」と言われるほど栄養豊富で、肝機能を助けるタウリン、グリコーゲンをはじめ、亜鉛や鉄、特にミネラル含量は群を抜く。生ガキにはレモン(酸味)をかけることで、それらの吸収が高まるとのことなので、お酒のお好きな方はギュッとひと絞りをお忘れなく。

前掛けをした魚市場の牡蠣開け職人風のおじさんブリュッセル、グランサブロン広場にあるベルギーでも屈指の人気店「レカイエ・デュ・パレロワイヤル」は私がもっとも感銘を受けたレストランである。(当店カウンターに掛けてある魚が描かれた額は、結婚記念日だからと無理やりお願いして貰ってきたその店のメニューだ。)エカイエとはカキの殻を開ける職人のことで、文字通りこの店の売りは生ガキをはじめとした魚介料理。とにかく内装のセンスが良く、味も抜群。そして何といってもユニークなのが黒服のギャルソンに交じって、前掛けをした魚市場のカキ開け職人風のおじさんが料理を運んでくるところだ。せっかくだからとその時はベルギーで採れる3種類の生ガキ盛り合わせを頼み、シャンパーニュと合わせて楽しんだ。残念ながら雰囲気にのまれてカキの味の違いは覚えていない。ひとつ言えることは生ガキは新鮮さが命、殻を開けてみずみずしくプリッとしていないとだめ。修業時代、1日100個以上のカキを開け続けた経験から学んだことだ。

ゲデレーではこの時期、生がきはすべてのコース料理の前菜として選択可能。(だたし、品切れごめん!)

2006年12月10日

026 古い地図

ヨーロッパのアンティークショップで買った古い地図1677年、伊能忠敬が日本地図を仕上げた。その努力と信念には素直に脱帽する。人工衛星が上がり、細かな道路までがナビゲーションされる今日のような時代が来ることを、その時彼は想像できたであろうか。

ゲデレーの壁を飾るもののひとつに、額に入れて仕立てた古い地図がある。ヨーロッパでは、街のあちこちにアンティークを扱う店があり、古い書物や年代物のオリジナル地図などは比較的手に入りやすいので、我が家では気に入った街の古い地図を探すことを旅の楽しみのひとつにしている。見ているとその時代の情勢が何となく分かり面白い。当時の人たちはこんな地図を見ながら旅をしたり、学んだり、時には戦ったりしたのだと思うと歴史を感じてワクワクする。

お客様には、食事の合間にちょっとだけ目をとめていただきたい。現代の地図とは全く違い、それこそひとつの芸術作品と言って良い程のオーラを感じる。パノラマで描かれたもの、細かく距離が書かれたもの、特に青の部屋に掛けてあるブルージュの地図は、低空から見たモチーフで、運河には小船や白鳥の姿まで描かれている優れもの。少なからずそれらはゲデレーの雰囲気を支えていて、お客様の満足度アップに協力してくれていると思う。
雰囲気の話は前にも書いたが、細かい事を言えば、テーブルの配置、クロスの色合い、照明の具合、皿、カトラリー、家具・・・。それらを統一感のあるコーディネートでまとめることは、居心地良い雰囲気づくりには欠かせない課題だ。壁の古地図はじめ、ゲデレーはアンティークの家具などを配し、重厚でクラシックな感じを出せるよう考えている。ただ最近は、つくったハード面プラス、大事なのはソフト面だと感じるようになった。厨房からの食欲そそるにおい、何気ない季節の花や芳醇なワインの香り、スタッフの落ち着いた接客、そして何より楽しそうに食事をするお客様が生んでくれる空気・・・。

悟ったようなことを書いたが、現在36歳、私自身も店とともに歳を重ね、味わいのある古い人間になった時にはもう少し説得力のあるコラムとして読んでもらえるだろうか。


2006年12月01日

025 トレビスについて 色について

先日図書館でのこと。「世界各国の小学生が描いた絵」のコーナーが設けてあり、これがなかなか面白く、妻とふたりで見入ってしまった。国柄の違いが色彩感覚の違いとしてこれ程までハッキリ表れるのかと、思わず吹き出した。欧米人の子供が使う色のカラフルなことと言ったらない、驚いた。それに比べ、日本人(アジアでも中国は意外にカラフル)の描く絵はとにかく暗く、色が少ない。もし私が先生なら子供たちにはこう教える。「32色の色鉛筆をまんべんなく使い切りなさい」と。

さて、この鮮やかな赤紫色の野菜は、トレビス、トレビッツ、赤チコリとも言われ、イタリアが原産、キャベツに似ているがチコリの仲間である。チコリの仲間。トレビス、トレビッツ、赤チコリなどと呼ばれる西洋料理にはよく使われ、サラダはもちろんメインの横に1枚あしらうだけで、グッと料理が引き立ち、皿が華やかになる。特にイタリア料理には欠かせない野菜として人気。残念ながら鮮やかな赤紫色は熱に弱く、キャベツのような火を通しての利用価値は少ないので、やはりサラダ向きの野菜であろう。苦味が特徴の味はお世辞にもおいしいとは言えず、彩り効果として使う添え物どまりの感は否めないのだが・・。ただ、栄養面では生で食べることで高血圧の予防改善に良いカリウムが多く取れるそうだから、少々の苦味は我慢していただこう。
前のコラムでも書いたように、当店で使う野菜はできるだけ(家族の協力を得て)自家栽培でまかないたいと思っている。トレビスやズッキーニ、カラーピーマン、フルーツトマトなどの特種野菜は買うと結構な値段なので、うまく育ってくれた時はこの上なく嬉しい。昨年に比べ、今年のトレビスは出来が良いようなので、何軒か知人のレストランにもお裾分けして喜ばれている。

「食」と「色」との関係を考えた時、赤、黄、緑と多彩な洋食と違い、日本食はどうも地味な気がする。ごはん、味噌汁、焼き魚、煮物、漬け物、納豆、佃煮・・・・・。我々日本人の色彩感覚の無さ(地味さ)は、幼い頃の食卓から始まった差なのかも知れない。国それぞれの食生活の違いは仕方なかろうが、例えばテーブルに花を飾ったり、時には綺麗な色のクロスを掛けたり、トレビスを添えて料理を華やかにしたりと、色明るい食卓を演出する日々の心がけは、感性を豊かにする第一歩なのだと、今回この赤い野菜と子供たちの絵から学んだ。