011 黄金の果実
ゲデレーではパスタアラビアータ(トマトソースのパスタ)と決めているお客様が何人かいらっしゃるようだ。とてもありがたいことであるが、年中同じ味をつくるのは正直たいへんだ。というのも、当店は生のトマトしか使わないので100個のトマトからは微妙に違う100種のトマトソースが出来る訳だ。麺をあえる何秒間かのなかで判断し1つの味を決める。塩やコショウ、茹で汁やオイル、時には砂糖を加えたりもするのだが、こればかりは自分の舌と経験から学んだことであり、人に教えるのは難しい。
これからトマトの季節で、味がしっかりと詰まりおいしくなる。土の焼ける暑い時期が旬で、そのままかじると青臭くて懐かしい夏の味がする。14世紀頃のインカ帝国時代、南米アンデス高原に生まれたその茄子科の雑草は、その後メキシコに伝わり栽培され、ヨーロッパに伝来したのは海洋時代の16世紀。当初は鑑賞用として小さい黄色の実をつけていたが、イタリアで改良がくり返されて現在の姿に変身したらしい。
「トマトが赤くなると医者が青くなる」と言われ、太陽の光をたっぷりあびて真っ赤に育ったトマトには豊富な栄養素が含まれる。特に、ビタミン、カロテン、カリウム、ペクチンが多く、高血圧や肝臓病に効果があると言われている。イタリア語でポモドーロ、当時、その色から付けられた「黄金の果実(リンゴ)」という意味だが、今や文字通りの価値ある野菜に生まれ変わったようだ。天の恵みに感謝!




