008 胡椒
香辛料の歴史は紀元前にまでさかのぼる。シナモン、コショウ、ショウガなど東方の香辛料をヨーロッパへ運ぶルートを支配することは、その当時の権力者にとっては天下取りの第1条件だった。1世紀になると、古代ローマ社会では贅を尽くした豪華料理を競い合うことが流行し、需要が頂点に達するとスパイスの値段は急騰、特にコショウは食卓の王様となった。たかが植物の種にすぎないのだが、それらの値が金銀と同じとなれば話は別。民族間の戦争も珍しくなく、人々は次々と荒海へと漕ぎだし、スパイスの確保に躍起になった。普段何気なく使っているコショウだが、その1粒1粒に波乱万丈の歴史が詰まっているのだ。
私は個人的にコショウが大好きなので、料理によく使う。ゲデレーの料理の約8割は仕上げに挽きたてのコショウがかかっていると言ってよい。料理の味は最初のインパクトで決まるというのが持論でして・・・。やさしい白コショウより、香りの強い黒コショウの方が刺激的で食欲もそそる。コショウはコショウ科の熱帯植物で、実は熟すにしたがって緑色から赤色に変わる。熟す前の緑色のうちに摘み取り乾燥させると、表面にしわが寄り果皮が黒くなる、これが黒コショウ。赤く熟すまで待って摘み取り、水に浸して皮をとり乾燥させる、これが白コショウだ。白と黒は種類の違いではなく果皮をとるかとらないかという事。
カリカリと音を聞きながらミルを両手でまわすのがよい。香りが命、やはり挽きたてがよい。古代ローマの食卓を想像しつつ、いつもより余計にまわっておりまあぁす。




